「折り紙」
ベンジャミン

重たい言葉を呟きながら
折った鶴はくずれた格好でした
尾なのか頭なのかわからない
二本のツノは怒っていました

指がふるえて
上手に折れないのですから仕方ありません
せめて淋しくないようにと
僕はひとまわり小さいのを折ってあげました

その鶴もやはりくずれた格好で怒るので
またひとまわり小さいのを折りました
それはもう鶴なのかさえわからないくらいで
怒ることもありませんでした

かわいそうに
まるで紙くずのようです

手のひらにのせると
転がりそうになりながらも
よれた羽で懸命に自分を支えているのを見て

僕は泣いていました

涙を吸い込んだ鶴は
ゆっくりとうなだれて
やがて一枚の紙に戻りました

僕はまた
重たい言葉を呟きながら折ります

なぜはじめから
そうしてあげなかったのだろうかと
思いながら折った紙飛行機は

重たい言葉も
吸い込んだ涙も
まるで感じさせないくらいに
きれいに飛びました

机の上には飛べない二羽の鶴がいて
見送るだけの僕がいて

それはもう
くしゃくしゃにまるめて
捨ててしまいたくなりました


自由詩 「折り紙」 Copyright ベンジャミン 2008-06-18 00:08:47
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