流花

赤が一片川に落ち
薄紅の花弁に早変わる
埃絡まる土上で
萎れ果てぬ事のないように
全て集めて水に還す

薄紅ひらひら翻る
川流に抗い下り行く
朝陽染み込ませたかのように
辺りをほんのり色付けて

両手を強く絞り切る
水を欲して囃す金魚に
今宵限りの口付けを
喉元掴んで酸素を与え
霞んだ瞳は影の一つも映すまい

果てた金魚を川流に浮かべ
その身の赤さが目に刺さる
堅い帯元緩めてやれば
裾を広げて蝶が咲く

諸羽を水に浸らせて
それでは飛ぶ事も叶うまい

川流に遊ばれ翻り
花弁となりて流れ行く
下る薄紅見送って
白んだ空に目を焼いた







自由詩 流花 Copyright  2008-06-17 11:43:12
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