目病(メシ)いの口上
beebee



かつて私の心は安らぎを知らず、
盲目の内に両手は前を探っていた。
手は悴(カジカ)み、
指先は熱い火傷を負い、
心は暗い深淵の内に浸かっていた。

訳も知らず、
知ろうともせず、
かつて
私は手段を持たず、
何ものかに向かっていたのだ。

それは何なのか、
今私の目に朧に見えている。

中世の剣を帯びし幸せ者を
私は夢見て来た。
それとも
投げ出された小銭にむしゃぶりつく乞食詩人へと。
心は解き放たれ、
快楽の内に眠りたいと。

ああ、しかし
それは夢なのだ。
手段こそが望ましい、
心は飢えているのだ。

語り出す言葉を、
織り綾なすリズムを、
伝え得る自分の全てを尽くして、
手段こそが望ましい。

ああ
心は飢えているのだ。


自由詩 目病(メシ)いの口上 Copyright beebee 2008-06-17 00:33:24
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新・純情詩集