嗤う梅雨
朝原 凪人
梅雨を横切る
あをいそら
濡れた地面を蒼く染め
少女が被った麦藁帽子
雨をなみなみ閉じ込めた
水玉模様リボンを掛けて
口ずさむのは夏の風
海面アスファルト
踊る靴音五月雨の
リボンと同じ雨色の
あじさいうてな宙に舞い
少女と戯ぶワルツのリズム
海の交差路
ビルの珊瑚礁
あいだを掻き分けて
虹を探して少女
うてなに脚が絡まって
横たわったアスファルト
自身の影に海は消え
所在無さ気に麦藁帽
ふらり空に引き寄せられた
放たれたリボンから
決壊する表面張力
雨が ごう と降り出した
リボンは雨に同化して
少女の泪も隠された
雨色あじさい紅を差し
唇は少女を嗤笑する