碧の戯言、碧のしるべ。
水島芳野

碧色の風が丘を吹き抜けるとき、
あなたは穏やかな夢を見るだろう。

掠れた声で泣きじゃくりながら
それでもまた、まっすぐと前を見据えてほしい。
溶け崩れるような崩壊の音に耳を傾けずに
波の打ち寄せる音に心を預け
揺り篭をまた探して欲しい。


人魚の忘れてしまった歌すら
あなたはまだ歌うことができる。


青色の空が丘を包み込むとき、
あなたは哀しげな風の声を聞くだろう。

穏やかな声で世界の終わりを告げながら
それでもまた、カナリアの鳴き声に焦がれ
打ち砕かれるような絶望の淵に立たされながらも
吹き抜けた風の匂いを味わい
青色の鳥を探して欲しい。


海賊も見つけられなかった宝物すら
あなたはまだ探り当てることができる。


碧色の風が丘を吹き抜けるとき、
あなたは穏やかな夢を見るだろう。

どうかそのとき感じる不自然な和音に耳を傾け
迫り来る終焉の小舟に身を預けないでほしい。






願わくは、

ただ、

君が正しく在ることを。


自由詩 碧の戯言、碧のしるべ。 Copyright 水島芳野 2008-06-14 20:38:31
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