灰の空
アハウ

暗く 美しい
雨色の漏れ来る

この灰を深く塗りこみ滴る
まだるい色の顔料は雨粒に溶けて
曇天の空を 一つ 一つ埋めてゆき

重い筆勢の抽象絵画のように
空に架かっている

目視できる範囲が画布

並木に雫が滴る
色とりどりの傘が行き
車は渋滞に巻き込まれ 
ビルディングが灰に湿って くすみ始めて

みんな みんな 灰の画布に 
鈍い色彩に塗り込められて

鋭利だった物質の輪郭は
この雨に打たれて滑らかになって


灰の空に融解していった



自由詩 灰の空 Copyright アハウ 2008-06-12 09:09:26
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