夜光中
本木はじめ

縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる


夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄


鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ


鏡台に映る妹べにをさす午前十二時映り込む兄


僕らにはみえないものを土に埋め水をかけ続けるおとおと


妹が長い黒髪ふり乱し千五百度の熱にほほえむ


姉弟ゆえ触れてはならぬ立葵根深い土中眠る妹


庭先で白と告げしとき着し服を花で葬る黒髪の姉


駆け落ちて汗ばみながら夏の森足踏み入れる蛇の抜け殻


残菊を集め土へと埋める夜あなたの指を忘れていました


夜光虫捕らえし籠を僕たちは川に沈めてさよならをゆう




短歌 夜光中 Copyright 本木はじめ 2004-07-14 00:39:21
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