私の町 君の町
横山亜希子

お正月に私は父と母とで
私が生まれ育った町へと車で向かった

何年ぶりのことだろう?
十年・・いやそれ以上?
どうなっているのかな?子供の頃に行った
デパートのレストランはあるかな?

私は銀色の宝石箱みたいなカタチの
銀貨を入れるとうらないカードが出てくる
それが乗ってあるレストランのテーブルが
気に入っていた

町に着くなり町の象徴とも言える
製紙工場の煙突2本がそびえ立っている

私を小児喘息へと追いやったこの白黒色の煙・・。
何のにおいかわからない変に生臭い煙
ふと思った 人の死のにおい

車の中で私は思う

出ていく人 入ってくる人
私の町 君の町
町への思い流れ流れて
自己愛へと変わるものかと

過去の時など微塵も感じさせなかった私の町
あの頃の人達はどこにいってしまったんだろう

ただ白灰色のがらんどうになってしまった
私の町を慈しむように私はつっぷして泣いた




自由詩 私の町 君の町 Copyright 横山亜希子 2008-06-11 08:08:44
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