願わくば白い光の中を
木屋 亞万

窓は私と世界をつなぐものだ
晴れの日は紋白蝶の光が注ぐ
粒々だらけの目で愛でる世界
雲は脳を冷ます高純度の白で
純白の雲は影がない密な氷だ
私は頬張りたくて口を開ける
窓が息に曇ってすぐに消える

太陽に目を細めて散歩したい
白い麦藁帽子を深めにかぶり
堤防の側をのんびり歩きたい
雲はきっと私が最後に眺めた
あの日から変わらないはずだ
空を縁取る雲の峰が天を広く
高く開放する水に似た空の下
川の水は傷だらけの硝子の板
目を細めれば尾を引く光の粒

出られない時ほど出かけたい
出かけたいのに出られない私
紋白蝶の窓は灰色に暗くなり
濡れるのを堪えて目を閉じる
入道雲がまだ私を呼んでいる



自由詩 願わくば白い光の中を Copyright 木屋 亞万 2008-06-08 14:33:39
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