「魂重」 喪失
藍染ゆみ

ふと・・・
冗談みたいに
あなたの心をナイフで切りつけた
ふさがることのない傷口をおさえながら
なぜかあなたは自分を責めた
恥知らずな私は不条理な道徳をふりかざした

ふと・・・
われに返って
あなたの返り血に気づいた
消えることのない赤黒いしみを見つめながら
なぜか私は予想以上に傷ついていた
計算高い私はあなたを巻き添えにして自爆した

私のこの世の日常全て
あなたと入り混じって溶け合って
私のものであなたのものであった
あなたを捨て去り私も消えた

現在(いま)・・・
あなたの魂と寄り添い生きた数ヶ月より
一日は重くて辛い1秒の塊だ

私の魂は
私をなじる
引き裂かれた痛みを訴える

私の心は
私の今を受け入れない
あなたを失う前の今を漂い 
2つの世界を天秤にかけたがる

私の身体は
欠如感で悶えている
あなたのそばに行きたいと言う
覚えているのだ
器は私であるが中身はあなたが半分入っている
私のままのようであなたに出会う前の私ではない

唯一救われるのは
私の家族とあなたの家族の平穏が形だけでも取り戻せたこと




自由詩 「魂重」 喪失 Copyright 藍染ゆみ 2008-06-07 23:16:02
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