梅雨前線
モリマサ公

血のにじむ空をゆびでなぞる
なぞりながらする自慰の必然性で結わかれた髪の毛のリボンがほどけていく
地下鉄の券売機の中に吸い込まれていく札をみている
どこにいくんだろう
あたしはこれに乗っかって
よだれがたれる
数秒間
ぶれている文字たち
ベージュの脳がゼリー状になってぶるぶる寒天のようにふるえて
みんな生きている
今はね
リストカッター
ドラッグディーラー
ビッチも学校の先生も
東京中のアングロサクソンたちや
世界に散ったモンゴロイド
長い時間をかけてすすけていくビルたちの壁面をあっためて太陽が
さみしそうにいつまでもともっている
自動販売機のなかで冷えながら需要をまつジュースたち
骨から肉が全部そがれていくような気分で信号を一歩ずつ前進し
なんてあおじろいんだろうここは
剥がされていくようにまっくろい雲がのびていきながら
この水滴はなんだろう
群れていく目玉たちの潤みがたまり
落ちてくる



自由詩 梅雨前線 Copyright モリマサ公 2008-06-04 01:27:52
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