ちきゆう/フィラメント
竜門勇気


金払って
帰ってもらえ
誰のことだそりゃ

僕のドアをヤツが叩いた
俺のドアをヤツが叩いた
私のドアをヤツが叩いた
誰のことだ誰のことだそりゃ

あの日はクソみたいな気分だった
緑色が吐き気の上
逃げて笑って
こっち見やがった
興味の反射に
貫いて腐り通した
それも三日三晩
(くだらねえ話/身振りは上手だな)補足3:1

あの日はクソみたいな気分だった
野良犬のケツの穴から虫まみれで逃れ出た後
からからに乾いた後
雨ざらしで溶けた後
虫も寄りつかねえ虫の死骸の住処になったみたいに
(身の上話は得意なんだな。誰に教えて貰った?)

僕の住処をヤツが訪ねた
俺の住処をヤツが訪ねた
私の住処をヤツが訪ねた
ドア鳴る・!ドア鳴る
吐き気が過熱されはじけた
それが初めてだと思った
ぬるいビールが音を立てて喉から溢れた!

金払って帰ってもらえ
顔洗って喋ってもらえ
叩いた手に喋らせろ
訪れたおしまいに言わせておけ
加重加熱加圧
負加重負加熱負加圧
中身が中身を
吐き出していく
出来損ないの感傷が
更に深い感傷を
加重加熱加圧
負加重負加熱負加圧

冷たく複雑な系
圧された新しい熱
表層の吐き気
鳴!るドア
光るフィラメント!


自由詩 ちきゆう/フィラメント Copyright 竜門勇気 2008-06-03 13:26:57
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