天使の詩
服部 剛
黒い壁に囲まれた
都会の個室
パソコン画面に映る
真青の空
あの日「向こう側」へ
逝ってしまった君が
今も遺言を語りかけるページへ
クリックする
時の止まった画面に
うっすら立つ君が
両手を合わせる
「 ボクハイツデモ ココニイマス 」
君のページを閉じる
再び画面は
真青な空
「時間」というものを消すように
パソコンの電源を消して
黒い個室の外へ、出る。
僕は今日
在りし日の君を愛した女と会い
静かにグラスを傾けながら
君の魂を弔う
向き合うテーブルの間に
うっすら消えない
君の面影をみつめて