普通のはなし
因子
それは予備校の帰り道、階段の手前で不図わたしの足がとまったので
オヤどうしたのだろうと 首を傾げ かけた その瞬間
わたしは己の感覚をいっぺんに失って、わたしの頭のてっぺんをみつめていたのでした。
わたしは己の居場所を見失いました
わたしはどこにもとどまることができませんでした。
理想化しすぎた自己の逆襲だったのかもしれない
わたしは17年かけて脳内でつくりあげた自分を自分だと思っていたのかもしれなかった
いずれにせよ零れそうな涙を堪えて天を仰いだら
わたしはやはりわたしでしかなく
それがいいことなのかそうでないのかまったくわかりませんでした。
それだけです。