さめざめと君は
横山亜希子
さめざめとないている君
それをみつめている僕
君のまぶたは垂れ下がり鼻からは透き通った鼻汁をだしている
その鼻汁をティッシュでおさえながら
君はさめざめとないている
「俺は君を福島の病院に入れて福島に転職したかったんだ」
今東京にいる僕たち
ここは僕たちのゴールじゃなかったのか
僕はここに来たかった
僕は君と何もない日々を紡ぎたかったんだ
僕と君を取り巻く不条理な出来事が
君の失望を招いた
僕は何もすることが出来ないまま
僕はただただ謝るしかなかった
「大丈夫だよ。君のせいじゃない」
君は頭を僕の頭にごっつんこしながら
まださめざめとないている
この話の終わりを僕は探している
この話の旅の終わりを探しながら
僕はただただうなだれる