「満月(みつつき)」
ベンジャミン
淡々と過ぎてゆく日々を
うつろに感じてしまわないように
小さな声に耳をすます
いままさに
目の前にいる小さな子
僕にとっては生徒と呼ぶべき
その小さな子が
「みつつき」とつぶやいた
視線の先には「満月」と書いてあって
「まんげつ」と読むのが正しいのだろうが
「みつつき」って
とてもきれいな言葉だと思った
淡々とした日々の中
夜空を見上げることもついついわすれ
今日を生きることに熱をうばわれている
帰り道
小さな子がつぶやいた
「みつつき」という言葉を
ふと思い出して
同じようにつぶやいてみたら
不思議だ
いつもより月があたたかく見える