蒼、いくつかの
石畑由紀子
利き腕を殺しあわずに手をつなぐ二人に喧嘩が絶えない理由
胸元に爪立て割れるピスタチオ 落ちてゆくのはとてもかんたん
でたらめな角度にさまよう手鏡で火があがる なぜ出逢ってしまう
私じゃないほかの誰かを抱かないで ほかのひとに抱かれながら叫ぶ
ほんとうに伝えたいことは不可聴域 レコード針と黄昏れた日々
あの花火おぼえてますか 胸を打つ最後の連打に吐露をかくした
君はいま集合写真の左上 欠落のまま輝いている
短歌
蒼、いくつかの
Copyright
石畑由紀子
2008-05-29 16:50:29