旅立つ前の夜には
REMINGSセシル

行ってきます

、、、。



車の中は静かで

目の前のコンビ二のわきには

納品のトラック

から荷物をすばやく降ろす

作業員がいた



静かな夜だった



何か

何んでもいいから

あなたのものを置いてって



彼は

財布の中から

臓器移植意思表示カード

を取り出して

彼女に渡しました

ぼくの脳が死んだら

ぼくの体は

全部必要な人に使われればいいよ



いやよ

わたしの中に入れるわ

彼女は胸を指差して

ふたつづつになるの

と言いました




彼は少し笑ってため息をついて

窓の向こうの夜の空へ目をやりました




彼女は

いってらっしゃいと

手を差し出しました



彼女はいつも節目に節目に握手を

求める性格でした


彼は

それがまた少しおかしくて



待っていてねと

一言、



なれない手つきで抱き寄せて



ふたりは

思い思いに

分かれました


自由詩 旅立つ前の夜には Copyright REMINGSセシル 2008-05-28 23:27:51
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