前へ

頭の中鳴り響いた

急げ

低い囁き声

微かに鳴り続ける警告は

日陰に捨てられた危険信号


絡み合って

ほつれた毎日

手の届く距離の光を見落として

ひたすら落ちてゆく

何もかも


都会の喧騒

暖かみの失せた手のひらは

誰に差し伸べればいいんだろう?


急げ

耳鳴りのように囁く

低い声


ただ繰り返す

気の抜けた炭酸みたいな日々


低刺激の微温湯につかって

ついに思考は停止する




何がしたい?

何を見たい?

ここにいて一体何が見える?


平和ぼけしたこの国の中で

何かをわかったふりをして


世界を変えるんだ

薄暗い部屋にこもって

画面に語るだけ


何が出来る?

何を見てる?

わからないふりをして

怖さから逃げる日々


一番怖いのは

そんなことが出来る自分だと

気づいた涙の中




急げ



五月蠅い囁きは

月夜の廃墟に鳴り響く



せわしなく進む時計を外せ


何を急ぐ?

何処へ向かう?


それさえも知らずに


青空を見上げて

権力者たちの洗脳

社会という名の強制装置


ぶち壊せ

偽りや幻想を



今を

前を

真実を


つかんで進むんだ


自由詩 前へ Copyright  2008-05-28 08:26:08
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