ノート(関係ないから)
木立 悟





海の下に玉子焼きがあり
みんな食べたがっていたが
ペンギンが持ち帰って布団にした
関係ないから


道を曲がるたび
違う名前で呼ばれたが
みな背広と笑顔しか見ていなかった
関係ないから


樹も氷もいなくなり
ひとり残らず金持ちになったが
息をしているものはいなかった
関係ないから


顔も声も住んでいるところも
わからない人が亡くなって
わかるのは言葉だけだった
関係ないから












自由詩 ノート(関係ないから) Copyright 木立 悟 2008-05-27 21:40:39
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