亀虫 
服部 剛

なけなしの給料を下ろしに 
近所のキャッシュサービスの 
小部屋に行った 

「 イラッシャイマセ 」 
おじぎするお姉さんの 
画像の上 

片羽の千切れた亀虫が 
6本の細足をのこのこ動かし 
歩いてく 

家を出る前メールで声援を贈った 
子供を残して夫の消えた君に思え 

いつまでも僕は 
画像のお姉さんと向きあい 
おじぎの姿勢をしていた 





自由詩 亀虫  Copyright 服部 剛 2008-05-26 19:44:12
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