僕のアサガオだけ腐ってる
青木龍一郎

昼間だというのに上空に花火があがった。
なのに、何故か街は悲しげだった。
それは僕の心の中で過疎化が始まっているのと、リンクしているようだった。
例えこの花火が僕の幻だったとしても、何も恐ろしくないよ。

今日は晴れ。
体も晴れ。
でも、世界には大雨が降ってるんです。
空が青いのは決していいことじゃない。
見つからない。
見つからない。
僕が笑うとみんな泣く。
僕が泣くとみんな笑う。
僕が死ぬとみんな泣く。
僕が右手を挙げるとみんな泣く。

地の果てまで青色が広がったら、そのときに雲の上から地面に向かって花火を打ち下げたいよ。
それは地上の僕に直撃する。
僕は大火傷を負って、みんなが眼を覆う顔になってしまう。
僕の顔を見て、みんなゲロしちゃう。

僕は走り出して、テレビの生放送に映りこむ。
テレビの前のみなさんもごいっしょにゲロを吐いてしまう。
そして、僕も鏡の前でゲロを吐いてしまうんだ。



そしたらファンタジーワールドの始まりだ!
僕はグチャグチャ真っ赤な顔して、両手に風船を持って踊り始める。
笑顔に硬直した顔をこしらえたキャラクターたちが音楽に合わせて踊りだす。
僕はたくさんの可愛らしいキャラクターの中心で、そのミイラのような顔を振り回す。
今度こそきれいな花火がたくさん上がって、僕の後ろにある巨大スクリーンには、民族浄化の虐殺動画が映し出される。
しかも、死体の顔が僕の火傷面とすりかえられている。

僕は元の顔が思い出せなくなってしまうよ。
僕は元の顔が思い出せなくなってしまうよ。

のっぺらぼうの顔にマジックインキで笑顔を描き足される。
耳から、ドロドロの汁があふれ出す。
プリンを口の中でグジュグジュにしたみたいなドロドロの汁が。
それを僕はあたりに撒き散らす。

何故か、僕はみんなに会いたくなっちゃうんだ!

僕はグチャグチャ真っ赤な顔して、両手に風船を持って踊り始める。
笑顔に硬直した顔をこしらえたキャラクターたちが音楽に合わせて踊りだす。
僕はたくさんの可愛らしいキャラクターの中心で、そのミイラのような顔を振り回す。

観客は1人も居ない。

僕は廃墟のような、静かで寂れた遊園地の中をトボトボ1人でふらついてる。


自由詩 僕のアサガオだけ腐ってる Copyright 青木龍一郎 2008-05-25 22:46:07
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