支えるひと
恋月 ぴの
世の中には支えるひとと
支えられるひとがいる
支えるひとは暗い海に胸元まで浸かり
力の限り支え続け
次々と押し寄せる荒波に揉まれては
やがて力尽き海の藻屑と消える
支え続ければ
いつしか報われる日は訪れるのか
伝わらぬは世の常だと暗い海は繰り返す
荒波の砕け散る音
弔いの風音
何度も逃げだそうとした
先の見えぬ日々から
唇を噛み締める夜の虚しさから
それでも気がつけば
名も知らぬ誰かを支えようとして
暗い海に胸元まで浸かり
両腕を伸ばし
足元を攫おうとする嘲りに耐えながら
海鳥は鳴く