支えるひと
恋月 ぴの

世の中には支えるひとと
支えられるひとがいる

支えるひとは暗い海に胸元まで浸かり
力の限り支え続け

次々と押し寄せる荒波に揉まれては
やがて力尽き海の藻屑と消える

支え続ければ
いつしか報われる日は訪れるのか

伝わらぬは世の常だと暗い海は繰り返す
荒波の砕け散る音
弔いの風音

何度も逃げだそうとした
先の見えぬ日々から
唇を噛み締める夜の虚しさから

それでも気がつけば
名も知らぬ誰かを支えようとして
暗い海に胸元まで浸かり
両腕を伸ばし
足元を攫おうとする嘲りに耐えながら


海鳥は鳴く







自由詩 支えるひと Copyright 恋月 ぴの 2008-05-25 20:38:26縦
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