雨鳴る花舞う
くろね

月が蠍になって 空は痛みに泣いて
翠色をした空虚が 私を籠めて

造られた北風と太陽
雨は未だ降っていますか
左の腕に絵を描いた
ずれて重なる細い線

戸惑い沈む夜に 朝が盗まれました
私はひとり醒めて 苦笑いを噛み殺す

呑み込むために吐き出した
花は未だ枯れていませんか
鮮やかに潰されるから
眼を閉じて祈りを折った

つま先で歌うねずみ色の靴
私を置いて軽やかに歩いてく
葉の濡れた木々の下で
誰も知らない嘘をつく

雨は未だ鳴ってゐます
花は未だ舞ってゐます


自由詩 雨鳴る花舞う Copyright くろね 2008-05-25 17:52:50
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