三井、高架橋、下
ブライアン
かつて訪れた道は高架橋下、新国道へ続く。
記憶は、花を求めない。耕された田畑も求めなかった。
土地が深い眠りについていた二月の終わりだった。
乾いていた用水路には、水が流されている。
断片的に訪れる車の音。工場団地の不安定な鉄をたたく音。
耳を劈く飛行機の通過する音。
それらの音の静寂の中に、用水路のせせらぎはあった。
シャッター前の怒号は聞こえない。
奇妙な泣き声を出した鳥の声は聞こえない。
黒い点は雀。
晴れた空は湿っていた。
かつて、から連続した、今。
フレームに収められたイメージは、等身大を拒み、要求する。
三井高架橋下、音は錯綜する。
渇望したのは、用水路を流れる水だった。