虹彩
青の詩人
空―。
丸みを帯びて広がる この澄んだ青が
とてつもなく大きなひとつの目だとしたなら
その目はどれほど大きな世界を見ているのだろう
その目をもってすれば
果てしなく広がり続ける暗闇の
水平線の向こう側さえも覗けるのだろうか
太陽系を超えて
銀河系を超えて
僕らの知らない星を超えて
僕らの知らない生物を超えて
僕らの知らない悲しみを超えて
どこまでも
どこまでも
見はるかすことができるのだろうか
その目が見つめるこの世の果てが
本当に果てかどうかなんて誰も知らない
だから宇宙は無限に広がり続ける
一番大きいと信じていた目よりも
もっと大きな目があって
きっとそれよりもっと大きな目があって
視力の上昇は無限に続く
やがて僕らが神様になったのは
きっとすべてを見たかったから
けれど 皮肉なものだ
大きくなるたびに
目そのものの中に棲んでいる
ちっちゃなものが見えなくなるのは
僕は水晶体の中の
ちっちゃなひとつの命として
別のちっちゃな命を見ていたい
誰も気づかないほど微妙な神経の変化にも
敏感に反応する
小さな神様でいたい
だから僕の目の中にも
空はあるんです
君はいるんです
雨上がりの世界は
ちゃんと七色に輝くんです