日曜日のテレビくらいは
ピッピ
月曜日のテレビはつまらない
とあなたは言うけれど
そんなに毎日テレビが面白かったら
黒目が原色になっちゃうわ
だからあなたは
月曜日の夜に兎になる
真っ青に鋭い風のように
Tシャツを纏って駈けていく
火曜日のテレビはつまらない
とあなたは言うけれど
そんなに毎日テレビが面白かったら
舌が独り言で汚れてしまうわ
だからあなたは
火曜日の夜に歌になる
冷たい人の掌のように
あたたかい詞が鳴り響く
水曜日のテレビはつまらない
とあなたは言うけれど
そんなに毎日テレビが面白かったら
足がカーペットになっちゃうわ
だからあなたは
水曜日の夜に魚になる
声を取り戻した人魚のように
真っ黒な海を泡を立てて泳ぐ
木曜日のテレビはつまらない
とあなたは言うけれど
そんなに毎日テレビが面白かったら
ポテトチップに手がくっついちゃうわ
だからあなたは
木曜日の夜に枝になる
どこまでも途切れない遺伝子のように
月夜の空を埋め尽くす
金曜日のテレビはつまらない
とあなたは言うけれど
そんなに毎日テレビが面白かったら
お肌に苔が生えちゃうわ
だからあなたは
金曜日の夜に星になる
思いを込めた葉書のように
誰かの命を乗せて流れる
土曜日のテレビはつまらない
とあなたは言うけれど
そんなに毎日テレビが面白かったら
筋肉がジャーキーになっちゃうわ
だからあなたは
土曜日の夜に怪獣になる
スクランブル交差点の真中を踏み抜き
真っ白な歩道橋で蹴躓く
日曜日のテレビはつまらない
とあなたは言うけれど
日曜日のテレビくらいは
つまらなくても一緒に見ようよ
だからあなたは
日曜日の夜に人になる
何も知らないわたしのように
誰かの隣に居続ける