三本脚
佐々木妖精
吊り皮を枕にした朝
素肌の味を思い描き
定時を目指す
学食を想い
立ち止まってはみたが
正門のサイズが合わない
すれ違った後輩が
陽ざしに目を細め
素肌をにじませようと
侵入する刃物がない
びっこ引き休日を辿る
保健室での目的なき眠り
図書室での理由なきサボり
なんともない腹をかかえ
なんとなく早退した月曜
四本脚で立ち
映画を観るじいさんの列を観た
割礼を凌ぐ頭にぼかしはなく
ただ洗練されたふてくされようで
白昼堂々席に着き
行き過ぎた性教育と向き合いながら
時には杖を振りかざし
生涯学習に勤しんで
ガキのくせにビニ本を拾い
障る放熱を経て
杖を揺らしピンク映画へ通う
そのサイクルから逃れようにも
静物すらぬかるむ汗をかき
水面を手に取れば
雨上がりの道草は絡み付く
週明けの朝
シルバーシートから目を閉ざす
かんべんしてくれ
そんな予定じゃなかった