呪いの教会
AKiHiCo

呪いをあの人にかけてあげよう
神様に祈りを教会で捧げて
災難に見舞われますようにと
ロザリオを提げながら
十字架に祈りを

この胸の痛みをどうか
あの人にも伝わりますように
私だけを見て欲しい
永遠に呼吸が途絶えるまで
痛みが全てあの人に届きますように
聖霊が運ぶオーヴは極めて美
呪いよ、届け

振り翳したナイフを
月明かりが照らし出し
教会のステンドグラスが
一瞬、閃いた
私だけ苦しいなんて
私だけ辛いなんて
絶対赦さない

叶わない恋と知りながら
あの人を愛し続ける為
永遠に愛される為に
純粋な赤は迸る
視界が崩れて赤に染まる

これであの人は私だけを思い
名前を叫びながら
目蓋をやがて閉じる
全てが私の

呪文を唱えた後に床に倒れる
それは私だった
教本は赤に染まり文字が消えてゆく
錆の味が拡がった後
声が響いて目蓋を開ける

そこに立っていたのは
愛しいあの人

あの人は逝ったのに

ゆっくり手を差し伸べられた
優しい笑顔で
そっと


自由詩 呪いの教会 Copyright AKiHiCo 2008-05-20 03:28:43
notebook Home