朧月
COCO

確かなものが欲しい、と泣いた


そんな日々には

野良犬たちも

たんぽぽも

いつもの帰り道さえ

他人だった





君の小指と僕の小指を何度絡ませて

永遠を約束したのだろう

でも

少しづつ擦り切れてゆく君の小指

僕はそれがとても怖くて

思わず小指を切り離した




君の身体と僕の身体を何度絡ませて

愛を確かめたのだろう

でも

少しづつ擦り切れてゆく君の身体

僕はそれがとても怖くて

思わず身体を切り裂いた



切り離した小指は赤い涙を流して止まらないのに

切り裂いた身体は体温をなくして冷えてゆくのに




優しくなれずに

離れられずに




滅紫の空を仰いで

僕は途方に暮れていた






どれだけ空を仰いで

やがて空には月が浮かんだ

その月の光は何とも朧げで―






切り離したままの小指と

切り裂いたままの身体で

僕の足取りはまだおぼつかず

だけど

儚い明日を照らすのは

いつもあの朧げな月の光



そういつも

あの朧げな月の光





僕は明日

少し優しい


自由詩 朧月 Copyright COCO 2008-05-20 03:23:37
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