『チャンネル』
東雲 李葉

都市伝説の革命が毎秒誰かを殺めている。
リモコンの電池が切れたから僕はそれを見つめている。
ハイヴイジョンの向こう側には名前も知らない小さな世界で、
逃げ惑う子らの悲痛な叫びが鼓膜を震わせ響いている。


崩れかけた廃墟は彼らの縄張り。
隠れろ!明かりを奪う一撃だ。
空が青くあるために、
海が深くあるために、
銃声が止むことはないだろう。
だけど今積み重なってく憎しみは、
罪無き瞳を押し潰し懺悔の声にも耳を貸さない。
望まなくても注ぐ光が、
毎秒誰かの命を選ぶ。
赤い嘆きの夕立で地平線が霞んでも、
時は彼らを嘲笑い新しい朝を始めてしまう。


手動で零の音を聞く。窓の外では小鳥が囀る。
やがて僕は液晶画面に鎌を見る。
不気味に輝く切っ先は少年の喉にあてがわれ、
彼の笑顔が崩れる前に僕は画面の外に戻った。


自由詩 『チャンネル』 Copyright 東雲 李葉 2008-05-19 13:16:37
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