かなしみにしずむ
春日





息つぎは上手じゃなかった
あるものないもの欲しがって
白く滲んだ指の隙間から
空をめがけて投げてばかりいた

例えば優しくしたくって
だれかに優しくしてほしくって
地球が消えてしまうまでにしたいこと
わたしが死んでしまったときに
お葬式に来てくれる人のにんずう
多ければ多いほどいいなと思ってた

なんにもいらないふりをしたり
なにかを諦めたふりをするのは得意なんだ

どこへ行けば飛べるのかなんか知らない
でも死ぬまでに
終わりかけの地球を見ることができたら
きっとそれを幸せっていうんだろ

携帯電話のアラームは設定されっぱなし
五分ごとにわたしに告げるのが
夜があけるまでの時間じゃなく
終わるまでの時間なら
今夜もそうして眠れない

青の濃度はそうして高まっていって
どんどん酸素は薄くなってゆくのに
まだしゃべりたいことがたくさんあるんだ

さよならをいったひとを思い出して
ごめんねとかありがとうとか
今一度呟いてみて
おやすみ、

わたしは夜に溶けてく


自由詩 かなしみにしずむ Copyright 春日 2008-05-16 21:27:41
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