通過
舞狐
朝
まだ冷たい風に吹かれ
空を見上げたら
白い風船が
力を使いきり
はらりはらりと私のもとへ
糸の先には
まあるい花の種
育ててみようと思いたち
長旅で疲れたであろう種に
土の布団をかけてあげた
水をかけたら
ニョッキ
ぷいっ
新芽が出てきて微笑んだ
するするとのびて
開花した
花は鏡
私を写していた
みるみる花は枯れていき
種が
ぽとん
ころころころ
三角の種
私は種を 小瓶に入れて
橋を駆け抜け
川辺へ降りて
流してみた
誰か拾って
花を咲かせてくれるかな
今度はどんな花が咲くのかな
ゆらゆらゆれ流れる小瓶に
花の種と思いをつめて
流れゆく様子を
見つめてた