伊達めがね
よしおかさくら

たくさんの人が祝ってくれるので
何かが始まったり
何かが終わったり
してしまうのかと身構えた
わたしは臆病なんだ
何も起こらないようなので拍子抜けだ

新聞紙がいくつも折り重なり
幾度も買い物をして
月や太陽が地球の周りをうろついて
赤いバラが次第に枯れていき
いつか散って
しまうのだろう

時の速さは変化していると
誰かが必死で言い張っているが
既に同意している、
正確な時計の
針の刻みに惑わされているだけ
いつからかあなたが
あなたでなくなってしまって困っていたし
またすぐに元に戻ることも知っている
原因は
わたしの伊達めがねだよね

水槽の、時の歪み
ふらついてしまう心の裂け目
花びらのコンフィチュールで
覆い隠して
きっとひとは生きていける
信じるのをやめたりなんか
するもんか


自由詩 伊達めがね Copyright よしおかさくら 2008-05-16 09:59:22
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