日曜日の淵で
なかがわひろか

日曜日の淵に立って
顔が鏡の男と出会う
僕を知っているか
男は問う

男の手を引いて
僕たちは日曜日の淵を歩く
君はどうして僕を知った
僕は首を振る

そろそろ帰らなければいけない
男は立ち止まった
いつまでも日曜日の淵にいられない
その通りだった

僕たちは別れ際
顔を交換した
なかなか悪くない顔だ
僕は笑った
男も笑った

日曜日の淵で
僕は顔を失って
男は顔を手に入れた

男は向こう側へと消えて
僕は日曜日の淵を歩き続ける

僕が出会うのはどんな顔だろう

(「日曜日の淵で」)


自由詩 日曜日の淵で Copyright なかがわひろか 2008-05-15 23:06:42
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