遺書
たもつ

 
テーブルの向こうには
崖しかないので
わたしは落とさないように
食事をとった

下に海があるということは
波の音でわかるけれど
海鳥の鳴き声ひとつしない
暗く寂しい海だった

残した料理にラップをかけた
それは夜明け前
崖に飛び込んだ
わたしの遺書に違いなかった
 
 


自由詩 遺書 Copyright たもつ 2008-05-15 08:52:45
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