線路の向こう
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等間隔に敷き詰められた枕木
地平線の彼方揺らぐ陽炎
線路を辿り旅する二人
汽車とはしばらくすれ違っていない
水筒の中身は空っぽ
乾いた地面にしみ込む汗
サボテンの森からはコヨーテの唸り声
手招きする骸骨の誘惑
リュックの中から缶詰を取出し
残り少ない食料を分け合う
会話をする気力も無いまま
破れた地図だけをを手がかりに進む
「線路の向こうには何があるの?」
「わからない。」
「あとどれくらい歩けば辿り着くの?」
「わからない。」
「どうして僕達は旅をしているの?」
「…。」
次の分岐点で二人は別れた
一人は町へ戻る駅を探しに
もう一人は諦められずに
線路の向こうを目指し歩き出した
やがて砂漠には何ヵ月ぶりかの雨が降り
雲の切れ間からハゲタカの群がる屍を
嘲笑うかのように太陽は照らしていた