水の空席
たもつ
鉄鉱石の蜜が街に溢れるころ
虫は人の文字の中で
急激に羽化を始める
かじると化学物質の味がして
その年はひどくうがいが流行った
水は水を乾かし
水は水を空席にする
証言台に立った女の瞬きは
速記官によって克明に記録され
翌日、珍しい化石になるのだった
自由詩
水の空席
Copyright
たもつ
2008-05-12 21:56:48
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