少女の行方は知れない
ミゼット


角砂糖ひとつ、つまんだら分かった
冷めたお茶の底にもうひとり
わたしがいるの

少女は集合体で出来てる
丸いもの、赤いもの、風きり羽根のコレクション

もし彼女の身体を裂いたなら
羽根の中から風船が上がる

それは彼女の嘘
それが彼女の魂だから
少女の身体は残らない
鳥が食べてしまうの、羽根を取り戻すために

鳥は四方に飛び去って
少女の身体は分解される
去った鳥はあちこちで
大きな鳥に食べられて
食べた鳥は撃たれて落ちたり
老いて土になる

そして
これが撃たれた鳥のソテー
これが庭でとったクレソン
わたしはいつかの身体を食べる

誰かがわたしを裂いたなら
少女のかたちの鳥が逃げるわ
わたしの身体は残るのかしら
裂いた誰かが持っていって、どこかで食べてしまうのかしら

午睡が砂糖と溶けた

少女の行方は知れない


自由詩 少女の行方は知れない Copyright ミゼット 2008-05-12 21:25:01
notebook Home