BAUHAUS
西日 茜
5月というのにこの寒さだ
風邪をこじらせてしまって微熱が出ている
昨日バウハウス展に行った
ドイツワイマールが生んだ芸術は無機質で冷たい
芸術は時代に生まれ、伝統的な技術が加わって新しく再生される
バウハウスもまた制限されたコストパフォーマンスの中で生まれ
戦争に潰され消えていった芸術
しかし今またインダストリアルデザインとして新たに構築され
エコロジカルアートの次代として注目されているという
かつて夢でみた断片的な記憶の中のひとつの建造物が
ガラスの箱に収まっていたのを見たとき
わたしは驚きしばし時間を忘れてその場に立ちつくした
計算され、試行錯誤を繰り返したはずの芸術品が
なんでわたしのちっぽけな夢に在ったのだろう?
もしかすると、わたしは誰かの生まれ変わりなのかもしれないぞ
あのころのバウハウスに学んだ人々の生まれかわりが
マルコヴィッチの穴からゾロゾロ這い出していると想像したら
不条理がなんだとかそんなんじゃなくてただ単純に面白い
ふと、無機質な感情「のようなもの」が
硬質なシルバーの電気ポットの横の四角ばった入れ物の中で
黄と赤と黒の格子柄に染まっていく気がした
それと同時に三角の帽子をかぶったモダンな衣装の踊り子たちが
くるくるとネジ式のように回っているのが見えた
微熱は未だおさまらない…