母の日に
縞田みやぎ

生き死になんてものが
畑に植わっているから
せめて軍手をはめて
つばの大きな帽子なのだ

黒い土のにおいのなかに
かきまぜられもしない
軽々しさを聞く
ぽこんと泡を抱いた
空々しさを聞いて
わたしたちの手のひらは
軍手を通しても
ななめになる
さくさくのかなしさ

ななめになる

そうした畑に植わっている
わたしたちの今日だから
せめての軍手
帽子のつばの両端
手をぎゅうとにぎり
それはわたしの畑だから
また聞きに行く

黒い土の
ふつふつと湧くなかに
今日がある
むせかえるにおい

いのちであるのか
わたしたちは鍬を持ち
わたしたちは種をまき
わたしたちは草を引き
わたしたちは収穫する
土のにおい
わたしたちの今日には
多くが軽々しく空々しく

また聞きに行く
わたしの畑だから


自由詩 母の日に Copyright 縞田みやぎ 2008-05-11 23:41:18
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