母の日に
縞田みやぎ
生き死になんてものが
畑に植わっているから
せめて軍手をはめて
つばの大きな帽子なのだ
黒い土のにおいのなかに
かきまぜられもしない
軽々しさを聞く
ぽこんと泡を抱いた
空々しさを聞いて
わたしたちの手のひらは
軍手を通しても
ななめになる
さくさくのかなしさ
ななめになる
そうした畑に植わっている
わたしたちの今日だから
せめての軍手
帽子のつばの両端
手をぎゅうとにぎり
それはわたしの畑だから
また聞きに行く
黒い土の
ふつふつと湧くなかに
今日がある
むせかえるにおい
が
いのちであるのか
わたしたちは鍬を持ち
わたしたちは種をまき
わたしたちは草を引き
わたしたちは収穫する
土のにおい
わたしたちの今日には
多くが軽々しく空々しく
また聞きに行く
わたしの畑だから