ぬい
そらの とこ

私はぬいを飼っている

まるで犬のようなぬい

鼻はよく利いて
遠くの音も聞こえる
口はそれなりに大きい
しっぽを振って喜ぶ仕草は犬そのものだ

ところが全身はとても長い毛に覆われている
お上品なシー・ズーよりももっと毛が長い
だから前が見えているのか
どこから足が伸びているのか
分からない

外へ出ればすぐに体は泥だらけ
そんなぬいを
久しぶりに洗ってあげたら

ぼぼ
ぼぼぼ

大きな音を立てて
毛が抜けた

ぼぼぼ
ぼ ぼぼぼ

ぬいは泣いているのか
くりくりの瞳は輝いて
体はやけにスリムで
カタカタ震えている

ぬい
ごめんねぬい
今抱きしめてあげる

ぬいを抱きしめてあげようとしたら
慌てて逃げていくのだから
後を追いかけていったら
ぬいはすっかりぬいに戻ってしまっていた

ぶおお
ぶおお

音を立てて毛が生える

ぶおお
ぶおお

それはまたぬいが泣いているかのようで
すごくすごく胸が痛んだんだ

ぬい
ごめんねぬい
大好きだ
君のことが大好きだ
だから帰っておいで
もう一度呼んであげるから

テリィ
おいで


自由詩 ぬい Copyright そらの とこ 2008-05-11 15:13:01
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