ぬい
そらの とこ
私はぬいを飼っている
まるで犬のようなぬい
鼻はよく利いて
遠くの音も聞こえる
口はそれなりに大きい
しっぽを振って喜ぶ仕草は犬そのものだ
ところが全身はとても長い毛に覆われている
お上品なシー・ズーよりももっと毛が長い
だから前が見えているのか
どこから足が伸びているのか
分からない
外へ出ればすぐに体は泥だらけ
そんなぬいを
久しぶりに洗ってあげたら
ぼぼ
ぼぼぼ
大きな音を立てて
毛が抜けた
ぼぼぼ
ぼ ぼぼぼ
ぬいは泣いているのか
くりくりの瞳は輝いて
体はやけにスリムで
カタカタ震えている
ぬい
ごめんねぬい
今抱きしめてあげる
ぬいを抱きしめてあげようとしたら
慌てて逃げていくのだから
後を追いかけていったら
ぬいはすっかりぬいに戻ってしまっていた
ぶおお
ぶおお
音を立てて毛が生える
ぶおお
ぶおお
それはまたぬいが泣いているかのようで
すごくすごく胸が痛んだんだ
ぬい
ごめんねぬい
大好きだ
君のことが大好きだ
だから帰っておいで
もう一度呼んであげるから
テリィ
おいで