「Yシャツと君と、君のちいさなお願い」
ベンジャミン

そのちいさな身体には大きすぎる
僕のYシャツを着ている君


窓に浮かぶ思い出は
あの日ならんで歩いた砂浜

せまってくる白線をとびこえて
水しぶきをあげてはしゃいでいた

いま
この窓辺で
長すぎる袖をまくりながら
入り込んでくる風を白くふくらませて

君は
空を指さして

海だという


それはきっとちいさなお願いで
忙しすぎる僕への
ちょっとした不満なのだろうけど


海へ行こうかって
僕が言う前に


君も
君をくるんでいる
そのYシャツも

もううっすらと
青く透けそうに見えてしまう


白線のむこうに広がっていた
あの日の海のように
      


自由詩 「Yシャツと君と、君のちいさなお願い」 Copyright ベンジャミン 2008-05-10 18:54:33
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