しゃらららラララ
木屋 亞万
半袖半パンで
自転車を乗り回し
坂道砂利道奥の小道
野球木登り鬼ごっこ
友達がいれば
いくらでも遊べる
日曜日公園でひとり
誰も集まらなかった朝
滑り台を貸し切って
大の字に寝そべっていた
青空には膨らんだ雲が
風に乗って流れていく
木が思い出したように
しゃららら揺れている
浮かんだ雲の谷間から
紙の帯がひらひら
風に遊ぶようにたゆたう
息を思いきり吐いて
風遊びに混ぜてもらった
白い筋がひらりん
まばたきしながら
よく見ていたら空
白い龍が泳いでいた
楽しそうに吠えて
滑り台の近くまで
スイスイとやってきて
口角を上げて笑う
尻尾をくるりんとして
木をばしゃばしゃ揺らす
すいと止まって
黒い瞳が僕を見た
鼻息が前髪と頬に届く
一際強い風が吹き
柔らかく声を震わせて
空に向かって飛び上がり
雲の所へ帰っていった
尻尾まで完全に雲の中に
入ってしまった頃
団地に住む友達が4人
自転車でやってきて
みんなで缶蹴りをした
木はしゃららら揺れ
缶は乾いたいい音がした