僕ら、鉄パイプ振り回して叫ぶんだ「ハレルヤ」と。
青木龍一郎

僕と君は鉄パイプのような人間だから
鉄砲の所持を許されてもいいはずだった

僕は可愛い赤いリボンをつけてもらった鉄パイプを持っていた
君はキラキラのラメが散りばめられた鉄パイプを持っていた

それらを持って、空に浮かんだとてつもなく大きい鉄パイプの中を僕ら走るんだ
後ろからよだれを垂らしたデカい犬達がついてくる
そいつらを見て、僕らは号泣する
暗闇の中が黄色く光る
強い光が僕らの眼を潰す
世界が光りだす
鉄パイプが光りだす

眼が泥泥粘粘になった僕ら、大笑いしながら鉄パイプの外へ飛び出す
大きい弾丸や原爆が飛び交う空の中を猛スピードで落下している


僕には世界が見えている
この素晴らしい世界に突っ込んでいく感覚は、脳神経を痺れさせて、挙句の果てに涙は止まらない

美しい

君にもこの世界が見えていることだろう

僕ら、ついに66.56度の傾きを保ちつつもクルクルと空中を廻り始める
高音でハレルヤを合唱すると、あたりにたくさんの鳥達が羽ばたき始める
烏、雀、鳩、みんなが抱き合いながらキスをする
そこには種族間の鉄壁なんて無かった!

その中心で僕らは「良かった良かった」と大声をあげる
鉄パイプの先からは何故かおしっこがチョロチョロと流れている


あたりを飛び交う原爆たちも、とてつもない勢いで増え始める
空の色は既に赤黒くなっている


鳥達よもっとはばたけ!
鉄パイプから溢れる糞尿にまみれたって構わない!
原爆と鳥で空が塗りつぶされればいい!
僕は本当に無力なんだろう!?



僕らに鉄砲を持たせればよかったのに
例えば僕にピストルを渡してみろ
僕は
嗚咽をあげ
それをドブ川に投げ捨てて
その足で回転寿司チェーンに直行し
カニミソを大量注文して
手をつけることなく
店を出て
さっきのドブ川に捨てたピストルを
拾い上げて
こめかみに当てて
引き金をためらいも無く引く


自由詩 僕ら、鉄パイプ振り回して叫ぶんだ「ハレルヤ」と。 Copyright 青木龍一郎 2008-05-09 22:14:03
notebook Home