時間の部屋
sekka

誰も知らない塔の最上階に
僕たちはいつもいた

その部屋は『時間の部屋』と呼ばれ
窓からの景色は
天も地も人も時間も
すべてが見渡せた

僕たちはいつも3人で
僕は皆から『過去』と呼ばれ
『未来』と呼ばれている君に憧れていた
そして『今』はいつも糸を紡いでいた

よく晴れた日
君は楽しそうに言った
「未来は限りなく広がる時間だけど
 過去は限りある時間ね」と
何も言えない僕を笑いながら
『今』は糸を紡ぎ続けた

雨が降り続いた夜
僕は久しぶりに口を開いた
「過去は未来からやって来るものだから
 未来が限りないものなら
 過去も限りなく続くものだ」と
君は顔色も変えず 雨の続く窓の外を見ていた
そして世界には『今』の糸を紡ぐ音だけが響いていた












自由詩 時間の部屋 Copyright sekka 2008-05-08 02:35:10
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