残された色
乱太郎

      最後の /色

      残されたままに/
/ひとつの絵の具
               /それは水のような色

     触らずに置いておこう
      (窓辺から差し込む
         ぬくもりに抱かれて)

     白いキャンバスの反対側に

君の色だから/僕が感じている
僕が描いた様々な色があって/君に出会う前に
もう全てを塗りつくした/思い込んでいた僕
数えきれない過去の作品/僕の知らないところにあって
君の絵/まだ描けずに

筆に付けると/
/もう無くなって仕舞いそうに思えて

    水に溶かすと/
      /空の向こうに消えていきそうな


(小さな部屋/白いコーヒーカップ)

君が最後にこの部屋に来たのは/いつだったろう
壁に掛けた時計/  /針がとまってしまって

何も言わずに/
      /優しい君だから 

携帯電話を変えた君/
        /君からの手紙を待っている



      思い出の/
          /君の色
    
       しばらく/このままに

        水になって/
            /溶けてしまないように




自由詩 残された色 Copyright 乱太郎 2008-05-07 14:11:33
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