休日出勤
松本 卓也

紙の資料と液晶の画面を見比べながら
音のない空間で独り言を繰り返す
大概が自身への愚痴でしかなく
誰かに聞かせる類とは言い難い

大型連休の中日とはいえ
どうせ家に居てもやる事もなく
約束など作る相手もいやしない
だけど目覚めれば夕方であるとかを
許容する事ができなかったから

一人である事を望んでいる性根
一人である事に耐えられぬ本音
どちらとも向き合いきれないまま
誤魔化しを決め込んだ金曜の夜は
酒を浴びるほどに飲んでいたっけ

窓の外ではつがいの鳩がじゃれていて
遠くの川沿いに子供らが無邪気に笑う
空き缶を灰皿代わりに一服する間に
どれだけの群像が過ぎていくだろう

眺めていたい気持を押し殺し
ふらりと椅子に腰掛ける
現実を一つでも片付けなければ
夢見る事さえ許されないのだから


自由詩 休日出勤 Copyright 松本 卓也 2008-05-06 22:41:03
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