ピンク、マニア、ストラテジ
Ohatu
 老人が馬に乗ってすれ違っても
 別に驚かないような、日だ。
 薄暗く、降ったり止んだりの雨
 いつまで経っても乾かない、日だ。
 とぎとぎの車の音はいやにでかい
 のに、通り過ぎれば、まっくらだ。
 そして落下するように、まっすぐに
 無思慮に生きていく、火だ。
 あたしは始まらない。
 火は、あとさきが無い。惰性で。
 いくつも切り取られて、
 ツギハギなった景色、幾重ものガラスの向こう
 触れない人たち、人たち、人たち。
 背中にスイッチと、赤いランプ。
 あたしは落し物。ゆらゆらと
 無軌道に生まれてしまう、日だ。
 誰ともすれ違わない、道を歩こう。
 まっすぐに。