リセットボタン連打勢!!
うおくきん

お父さん様とお母さん様の全力暴力こみの命令には逆らえないいい子を演じていた僕でも、一時期、小学校には行きたくなかったねえ。
ソコにあるのは胸が苦しくなるよーないじめばっかだったからさあ。
あんなすさまじいいじめにあの娘はよく耐えて学校に来ていたと思うよお。
無関係な僕は行けなくなったってのにさあ。

あの頃は、死んだよーな集合団地の端の端に放置されていた廃車の後部座席によくうずくまっていたよお。
友達はいっぱいいたけど、独りでいろんなことを考える時間が必要だったんだ。
その車のハンドルの下にはアシナガバチが見事な巣を作っていて、そんなものを眺めながら僕はいつも妄想にひたっていたんだ。
アシナガバチの毒は体質によっては一刺しで死ねるってことを昆虫マニアだった僕はもちろん知っていたよお。
自殺もできないくせにいつも死ぬことに憧れていた僕はアシナガバチを挑発して、ためしに刺されてみたんだ。
でも、ズキズキにとてつもなく痛かっただけで死ねなかったんだよお。なんだかなあだなあ。痛みには慣れてるし。
じゃあ、次はオオスズメバチかヤマカガシに挑戦かなあ、そんなことを思ってみたら、ちょっとワクワクしてきて読み飽きた『完全自殺マニュアル』を破り捨てることができたんだ。

胸が苦しくなるよーないじめが継続するっぽい地元の中学校に行きたいはずもなく、いじめに参加するのも標的にされるのもイヤだった僕は本気で逃げること にして、県内でもわりと有名らしい私立の進 学校に進むことにしたんだ。
僕は子供の頃は頭がよかったからほんとにてきとーに勉強しただけで受かったんだ。
なんの嬉しさもなかった。虚しさだけがあった。
あーあ・・・あーあ・・・リセットボタン押したんですね。
いいんじゃないの、もう。
全滅したらリセットボタン連打!!
成長率が気に食わなかったらリセットボタン連打!!
人生終わってんなと思ったらリセットボタン連打!!
僕はリセットボタン連打勢でいいんじゃいの、もう・・・大後悔と心機一転のデスコンの苦しみが味わえますよ・・・


自由詩 リセットボタン連打勢!! Copyright うおくきん 2008-05-05 03:44:45
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